松屋2008


松屋を最後に食べたのはSYJP初ライブの2週間前の日曜日で、その日私は画像のSYPタグの材料を買いにトイザらスにいた。グロックPS3のショーケースへ2・3発撃ち込み首に吊したダイナマイトを見せると店員はファックとかなんとか叫びながらレジから売り上げ金を私に向かって投げ付けて目的の品をゲットできたので帰りにまるごとバナナとコカコーラでも買ってカロリー取るかと車のキーを回すとセルがギャギャギャギャギャと聞いたことの無い不吉な音を立てるばかりでちっともエンジンが掛からない。うわあこれは困った車のエンジンが掛からないということは車が動かない訳で車が動かないということは昨今の原油高とガソリン価格の高騰に対するカウンターカルチャーとしてのノーカーライフの第一歩を踏み出した訳だ!すげえロハス!エコライフじゃん!絶対じゃん領域じゃん!イエーイ!と喜んでも車は動かない。動かない車なんて本当に役立たずだと思う。大きいし重いし黒いし。黒いのは私の好みのせいか。じゃあ次はしろい車を買おう。ちょうど近くにレクサスのディーラーがあることだししろいレクサス一丁持ち帰りでオプションもじゃんじゃん付けちゃってよと思ったがたぶんレクサスは持ち帰りできないので動かない車をどうにかすることにした。エンジンが掛からないということはエンジンを掛けるために必要ないくつかの要素のうちひとつかふたつか全部が欠けている訳で、その欠けている要素をどうにかすれば無事にエンジンが掛かってまるごとバナナとコカコーラな訳だ。まずガソリンは、ある。これは燃料計を見れば一目瞭然なので分かりやすい。もしかすると燃料計の故障あるいはガソリンをエンジンへ運ぶ何とかかんとかのトラブルでガソリンが原因ということも考えられるがそんな難しいことを言われても困る。あとバッテリー。キーをONの位置に持って行くとエアコンが豪快に唸りを上げてステレオからはThe Honey Drippers「Impeach the President」が聞こえるので問題ない。もしかするとエアコンとステレオは動くけどエンジンは掛からないバッテリーのトラブルということも考えられるがそんな難しいことを言われても困る。というかそもそもまともな設計思想を持っていれば優先順位からしてエアコンとステレオが死んでもエンジンは掛かるような設計をするはずだ。あとは、えーとえーとエンジンを動かすにはガソリンと圧縮した空気だかなんだかを、バッテリーから供給された電気を使って点火プラグだか告白フラグとかいう部品でうまいことやると聞いたことがあるような気がしないでもないようなあるような、でも大声で言いかねるくらいには思えないでもない。このレベルになると車のメカニズムに微塵も興味の無い私にとってはもはやオカルトの世界だが興味の有無に関わらず毎日淡々とボンネットの中でガソリンに告白フラグを立てている車はすごいと思う。ということはボンネットを開けてみるといいかもしれない。「ボンネットを開けて困り顔」というのは車のトラブルに欠かせない様式美でもある。何事も形から入るのは良いことだ。そしてレンチ片手に困り顔でいれば親切な超絶美人メカニックがやってきて「お困りですか?」とロマンティックのエンジンがロケットスタートな訳だ!!!夜の整備工場!今夜お前をオーバーホール!実際にはボンネットを開けてもどこが原因なのか私にはさっぱり分からないし例え分かったとしても対処方法が分からないし分からないだけならまだしも問題を深刻化させる恐れがあるので自分でどうにかするのはやめにした。餅は餅屋という言葉もある。ちょうど近くにガソリンスタンドが見えたのでてくてくと歩いて行ってこれこれこういう訳でちょっと見てちょんまげとお願いすると今は人が足りないので無理だがバイトが出勤する30分後なら見て進ぜようと言われたのでお願いしますと頭を下げてスタンドを出た。なんと頼もしいことだろうか。あとは30分後にスタンドのイケてるメカニックが問題を解決してくれるだけだ。だめな子の私はこれ以上やることがないので松屋に入ってうまトマハンバーグ定食を食べた。だめな子でも腹は減る。うまトマハンバーグ定食を食べ終わるとトイザらスへ戻り店員を捕まえて事情を説明しパイロンを借りて作業スペースを確保し煙草を吸いながら何事かと好奇の視線を投げかける親子連れに対して将来子供がノブとフェーダーとLEDがいっぱい付いたミキサーを見ると異常なまでに興奮する変態に育ちますようにと呪いの呪文を唱えているといよいよやることが無くなった。そしてガソリンスタンドの人が来た。ガソリンスタンドの人は慣れた調子で運転席に座り何かを確認をして慣れた調子でボンネットを開けて何かを確認をすると問題はバッテリーなのでバッテリーを交換してよいかと聞くのでよいと答えるとあっという間にバッテリーを外して新しいバッテリーを取り付けてエンジンを掛けてみて下さいというので言われた通りにエンジンを掛けるとエンジンが掛かったのでわあすごいすてき超イケてるイリュージョンとなってバッテリーの代金を払い家に帰った。まるごとバナナとコカコーラは買わなかった。